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第四話「無視された身体は、病気で語り始める。」

身体は、最初から大声では叫ばない。
肩の張り、眠りの浅さ、食後の重さ、なんとなくの倦怠感。最初はそっと、しかし確実に語りかけてくる。
多くの人はそこで言う。「気のせいだ」「忙しいから仕方ない」「年のせいかな」と。
そして無視する。

身体は諦めない。
無視されると、声を大きくする。慢性的な痛み、繰り返す風邪、消えない疲労感、突然の動悸。それでも「薬で抑えればいい」「検査で異常がなければ大丈夫」と処理される。

そしてある日、身体は別の言語で語り始める。
病気という言語で。
それは身体の敗北ではない。限界まで語りかけ続けた、最後の翻訳だ。

現代医療は、その翻訳文を読もうとしない。
症状を消すことに特化しているから。痛みを止め、炎症を抑え、数値を正常範囲に戻す。それ自体は必要なことだ。しかし身体が何を伝えようとしていたのか、その声の意味を問うことはほとんどない。
結果、同じ場所がまた語り始める。

身体のサインは、弱さではない。
それはこの時代を生きてきた記録であり、あなたの細胞が刻んできた履歴書だ。
その言葉を、まず聞くところから始めてほしい。
呼吸を整えることは、その声が聞こえる静けさを作ることでもある。

※次回は、その「聞く」ための具体的な入口を、五感という視点から紐解いていきます。

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